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執筆者の写真umihoshilab

加茂川河口干潟 ウミニナ類マップ・西条自然学校20周年記念イベント「いきものまみれ」出展

更新日:10月14日

加茂川の河口干潟にいる5種類のウミニナ類(フトヘナタリ、ヘナタリ、カワアイ、ウミニナ、ホソウミニナ)についての分布を調査しました。


調査時期:2024年3月2日~4月13日(うち4日間)



調査の目的を、いくつか記します。


目的① 専門家調査の前哨戦

冬の間は生き物たちもシーズンオフということもあり、なかなか干潟へ足を運ぶ機会がありませんでした。

今月、専門家チームと一緒に調査をする時のためのウォーミングアップを兼ねています。

ウミニナ類は寒くてもわりと引っ込まずにいる印象ですが、あたたかくなってきて、カニたちも活動をはじめているのが見られました。


目的② 専門家のための参考資料

4月に来られる専門家チームの方々だけでなく、加茂川の生き物に興味を持ってくれた研究者・専門家、生き物を愛する人たちが、このマップを見て「あー○○がいるなら、××もいそうやな」とか、「ここの底質はきっとこんな感じかな」とか、参考にしてくれたら良いと思っています。


目的③ 西条自然学校20周年イベント出展のため

2024年4月14日(日)、西条市総合文化会館で行われた西条自然学校 20周年記念イベント「いきものまみれ」に出展しました。

半年ほど前から「西条自然学校スタッフも、なんか1つずつブースを出して」と言われていたので、どうせなら私が作った「干潟の巻貝手ぬぐい(超・在庫あり)」が少しでも売れるような内容にしよう!と思って、その頃からウミニナ類調査を計画していました。


結局、イベントには西条自然学校のスタッフとしてではなく、「海星研」として出展することになりましたが、皆さんに独立したことや今後やっていきたいことを知ってもらうのに、ちょうど良い機会になりました。

来てくれて、お声掛けくださって、ありがとうございました!


それに西条自然学校は卒業しましたが、手ぬぐいの在庫を少しでも減らさなければ!という贖罪?の気持ちと大量の在庫は、山の事務所に残したままです……。「お金が溜まったら買い取ります」と言ったら「無理せんでええよ」と言ってくれているのでありがたく無理はせず(すんません)、それでもちょっとでも売り上げに貢献していきたいと思っています。


 


ブースでは、ウミニナ類マップと手ぬぐいの展示に合わせて、実際に5種の巻貝の生態展示も行いました。


100均のフタつきケースは、サイズもフタの開けやすさもちょうど良かったです。

「開けたら閉めてね(逃げるから)」と書いておいたら、子ども達(大人も!)も開けたくなるみたいですね。

それぞれ採集地の水や泥とともに入れているから、元気に這っている様子を見せられました🐚🐚🐚🐚🐚

(一緒に入れると、水が合わなくて殻に閉じこもっちゃう種がいました)


 





そんな感じで「ウミニナ類分布調査まとめ」と「活動紹介」が半々くらいのブースとなりました。

あとは、物販もちょこっと。グッズ制作は、これからやっていきたいことの一つです。


 

今回ウミニナ類の分布を調査してまとめるのにあたり、いくつかの論文や報告を読みました。


ウミニナ類は「干潟の標徴種」として、全国的に調査・研究されています。生息の有無だけでなく、サイズや季節変化から見る個体群動態、潮位や底質による分布の違い、殻高と殻幅からわかる河川間の栄養状態の違いなど。

マップの範囲をもう少し広げたり、「なんでここにいるの(いないの)」を環境やサイズとともに調べてみたり、私もなにかできるかもしれない!と「研究のタネ」としての可能性を感じました。


西日本には種類が多いそうですが、加茂川のように一河川内で5種の健全な個体群がみられるのはあまり多くはないようです。きっとここは、ウミニナ類研究にも最適の干潟です。


これからは、どこか他の干潟へ行った時は、ウミニナ類の種類と生息環境が気になってしまいそうな予感がしています。イボウミニナ見てみたい。


最後に……

絶滅危惧種に指定されている生き物について、詳細な位置情報を公開することに賛否があるかもしれませんが、「以前はここにいたのになぁ」と誰かの記憶の中に存在するだけではなく、動態を記録・発信していくことも重要だと思います。また、この情報から、様々な角度からの視点が入ってはじめて、わかることやできる対策もあると考えています。例えば「なぜここには残されているのか」ということが分かれば、その環境を残したり、他の干潟に応用して再現したりすることも可能かもしれません。

とは言え、問題があれば削除しますし、SNS等にはアップしません。このマップが、ポジティブに活用されることを願っています。


【マップ作製、展示制作、この記事を書くにあたって参考にした文献】

Toshio Furota, Tomoki Sunobe and Shigeo Arita:Contrasting Population Status between the Planktonic and Direct-Developing Batillariid Snails Batillaria multiformis (Lischke) and B. cumingi (Crosse) on an Isolated tidal Flat in Tokyo Bay. VENUS 61 (1-2), 15-23, 2002.

金谷弦,上村了美,鈴木孝男,五十嵐健志:同所的に生息するウミニナBatillaria multiformisとホソウミニナB. attramentariaの個体群構造と潮位分布における経年変化―陸奥湾芦崎干潟での事例,日本ベントス学会誌, 75, 43-53, 2020.

佐藤海,冨山清升:鹿児島県内のウミニナ類の分布と形態比較, Nature of Kagoshima, 46, 283-290, 2020.

鈴木孝男,木村昭一,木村妙子,森敬介,多留聖典 著,日本国際湿地保全連合 編:干潟のベントスフィールド図鑑, 2013.

田上英憲,冨山清升:干潟におけるウミニナの生態, Nature of Kagoshima, 44, 119-128, 2018.

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